初めに

武田勝頼・北条夫人・信勝画像(高野山持明院蔵)の疑問。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の女性の立て膝についての証拠とする肖像画について

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の女性の立て膝についての証拠として、武田勝頼・北条夫人・信勝の親子画像を例としてあげているが?

NHK大河ドラマとかテレビ見ないし、担当されている方も存じ上げなくて申し訳ないのですが、NHKの時代考証に関連している方?が、大河ドラマ「麒麟がくる」の女性の立て膝について、誤解による批判があることに対して反論していると説明している人たちをSNSやネットのサイトで見かけました。

貴人女性が片膝を立てて座っていることへの違和感が出ているようです。実はこれ、中世までの貴人女性の座り方です。

丸島和洋 3月1日 facebookより

Wikipediaでは、武田勝頼妻子像の史料編纂所所蔵模本が出ているようですが、勝頼夫人桂林院殿(北条氏政妹)も片膝立てで座っています。

丸島和洋 3月1日 facebookより

この方の説明では、高台院もとりあげていますが、この記事では武田勝頼妻子像について。

生母:龍勝院、継母:桂林院と武田信勝のwikipediaには記載があるが、生母との画像はないが、なぜか継母とは残っているということでいいのだろうか?(2020年10月15日追記)

武田勝頼 - Wikipedia
北条夫人 - Wikipedia

この肖像画の武田勝頼は私も歴史の教科書などで見たことがあるはずですが、その下に妻子が一緒に描かれているのは知りませんでした。

こういう掛け軸にするような肖像画は一人を描くだけと思っていたので、何十年と生きてきて知らない事だったので、新鮮です。

この武田勝頼の絵は肖像画だとばかり思っていたのですが、肖像画とすると意味合いが違っているから武田勝頼妻子像や画像と名称されているかな。武田勝頼のwikiでは”武田勝頼(1546 – 1582)の肖像画(部分)”とかになっているのか。

こういう立て膝を女性が肖像画でしているぞとネットで見かけてから、これまた知らなかったことなんですが、やたら何々”“像と名称に書かれている場合があることです。確かに意味的には”絵画の主題とした、人の姿。えすがた”とあるようなので、これもただただ自分の無知さにお恥ずかしい限りです。~像が普通だと思っていたので。

畳の模様が小紋高麗縁に似ているが、絵師が畳の模様を知らずに描くことがあるのだろうか?

ところでこういった肖像画や画像?などを見ただけで、簡単にその人の地位や役職がある程度わかることがあるのはご存じでしょうか?

もちろんその人物や服装などでもわかる場合がありますが、その人が座っているのが畳だった場合、その縁の模様を見ることで判断することができます。

私も知識として畳の縁で違いは程度にはあったと思いますが、詳細までは理解していなかったので、興味がてら調べてみました。

その他

こちらの畳の縁の画像と見比べながら、武田勝頼、武田勝頼妻子の座っているところをみると、小紋高麗縁(通称:九條紋)の模様を少し変化させたような形に見えます。あれ?武田勝頼・北条夫人・信勝画像(高野山持明院蔵)が座っている場所は畳ではないんだろうか?それとも、同じ小紋高麗縁(通称:九條紋)でもいくつかパターンがあるのか?

武田勝頼の官位について調べる

大膳大夫(公称)[注釈 1]、左京大夫?(『言経卿記』天正10年3月22日条)

武田勝頼 官位

父・信玄は足利義昭官位偏諱の授与を願ったが、織田信長の圧力によって果たせなかった。そのため正式な官位はない。

武田勝頼

どちらも武田勝頼のwikiからだが、どちらか正しい情報なのだろうか。とりあえず、官位を持っているものとして調べてみる。

公卿 - Wikipedia

大膳大夫、左京大夫のどちらかが、従三位以上であれば、小紋高麗縁と思しき、畳の縁を使えるはず。

「左京大夫」は「従四位」に相当する官職

憧れの左京大夫

出典はなんだろうか。

大膳職 - Wikipedia
武家官位 - Wikipedia

大膳大夫は公卿の条件は満たせないみたいで、左京大夫は可能性はなくはない?

武田勝頼妻子の畳の縁を見ると模様が武田勝頼と同じだが、戦国時代に妻や子が夫と同等の身分とかありえたのだろうか?このあたりも深堀したいところ、まだまだ知らないことが多いな。

NHKの時代考証に関係ありそうな人だと、歴史家やどこかの大学の教授とか著名な方だろうから、畳の縁で身分がわかるとか当然知っておられるはずなので、そもそも武田勝頼・北条夫人・信勝画像(高野山持明院蔵)で座っている場所が畳ではないとか、私が知らないことがあるのだろう。またwikipediaは必ずしも信用できるものでもないので、文献や出典など含めて引き続き調査したい。

甲陽雑記:武田氏研究のページ
戦国史研究者・丸島和洋のサイトです。武田氏研究の文献目録などを掲載しています。

甲陽雑記~武田氏研究のページ~というサイトは最初に紹介したfacebookの方のでいいのかな。勉強させてもらおう。

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