初めに

妙然尼像と妙然像、奇妙な二人の男女?の肖像画に出会った話の疑問を検証する

アイキャッチ トリミング済み 妙然尼像でいいのか? 重要美術品
出典:妙然尼像
この画像は加工を行っています。↓
アイキャッチの出典の詳細情報と加工について

最近、東京大学が運営している東京大学史料編纂所のサイトにあるデータベース検索を利用して調べ物をしていました。

それは、浅井長政夫人(お市の方)とされている肖像画の模様や服装についてなのですが、検証している過程で奇妙な男女二人の肖像画の情報に出会いました。

まず最初に見つけたのは、妙然尼像です。

東京大学史料編纂所の横断検索は歴史の資料・画像を調べるのに便利。使い勝手はとは言っていない。

横断検索で「武家の夫人」と入力し検索すると、データベースのひとつ、歴史絵引データベースに1件見つかります。

武家の婦人 検索結果

東京大学史料編纂所のデータベースの検索結果

「一覧へ」がボタンになっているので押し、キャプション情報のデータベースに1件見つかるので、再び「一覧へ」を押します。

武家の夫人 検索結果 一覧

東京大学史料編纂所のデータベースの検索結果

妙然尼像の肖像画の服装について以下のように、室町時代のファッション事情とともに、お市の方(浅井長政夫人)と同じような恰好をしていると説明が表示される。

妙然尼像 室町時代の武家の夫人 検索結果

浅井長政夫人像の腰巻姿と同様,室町時代の武家の夫人の着装の流行を現わした画像である。

東京大学史料編纂所の歴史絵引データベース「武家の夫人」検索結果

詳細も併せて確認すると、鈴木敬三という著者の『有識故実図典─服装と故実─』図録31に妙然尼像が載っているのではないかと思います。1950刊の改題改訂となっているので、初版を手に入れたいがまだ存在するのだろうか。

また、キャプションには東京国立博物館と記載があるので、検索した結果・・・

東京国立博物館の妙然尼像を見た瞬間、私の中での尼という概念が壊れた気がしたのだが…私の勘違いだろうか

妙然尼像 東京国立博物館(http://webarchives.tnm.jp/ 配下)で公開しているデジタルコンテンツ

妙然尼像
東京国立博物館(http://webarchives.tnm.jp/ 配下)で公開しているデジタルコンテンツ

研究情報アーカイブズ
デジタルコンテンツの利用について

東京国立博物館の妙然尼像?の画像を見た瞬間に、自分で加工は一切していないよなと心の中で何度も、反芻しながら、「妙然像」をネットで検索しました。

文化遺産データベースというサイトに「妙然像」のページを見つけたが、画像がない。

文化遺産データベースというサイトに「妙然像」で見つかったのですが、情報の記載だけで画像が掲載されていません。(文化遺産オンラインの概要には文化庁と総務省が連携しとなっているので、民間に委託しているのかもしれませんが、こちらのサイトも国が関連しているようです。)

文化遺産データベース 妙然像 画像なし

永禄7年(1564)日叙賛

久遠寺15世日叙(にちじょ)による永禄3年(1564)の賛がある

妙然像 文化遺産データベース → 以下の追記でも書いたが、妙然像のタイトルを「妙然尼像 みょうねんにぞう」と変えるだけの為にアドレスページが変更になっていると思われる。

妙然像 文化遺産データベースに記載のある情報と先ほどの妙然尼像 東京国立博物館の画像に記載されている文字を見比べると、妙然尼像の肖像画の左側に「久遠?十五(?)?嗣日叙??」、右側に「鄔波斯迦妙然?位」(?の部分がちょっと読めなかった)とところどころ読みづらい箇所もありますが、書いてあるように読めます。「永禄3年(1564)」は7年の入力ミスだろうか。(永禄 wikiより)

追記 2020/12月時点で、元のアドレス(ネット上の記録サイトに情報が残っていたのでそのリンクを記載する)のタイトルを妙然像から妙然尼像に変更するためだけに、新しいページに作り直したようだ。文章は語尾が修正されているだけで、内容は変わっていないように見える。 追記終わり

「鄔波斯迦」というのは中国語で、上記引用先の説明に、日蓮宗信者とあるように、日本語では在家のことらしい。

在家(ざいけ[1])は、仏教において、出家せずに、家庭にあって世俗・在俗の生活を営みながら仏道に帰依する者のこと。出家に対する語で、仏教用語の1つ。

仏教徒のなかで、在家の信者は、男性は優婆塞(うばそく、upāsaka)、女性は優婆夷(うばい、upāsikā)と呼ばれる。

在家 wikipeia  

東京国立博物館 妙然尼像 仏教の美術―平安~室町 展示リスト一覧

妙然尼像 永禄7年(1564)日叙賛 A-10495

東京国立博物館 仏教の美術―平安~室町 展示作品リスト より 
2018年4月24日(火) ~ 2018年5月27日(日)

また、東京国立博物館「仏教の美術―平安~室町」の展示作品リストのページには、文化遺産データベースの「妙然像」の説明と共通の記載があった。だが、こちらのサイトの表記が「妙然尼像」と記載するところを間違ったのだろうか?「妙然像」と「妙然尼像」とあれば、私はそれぞれ男女の肖像画なのかと考えたが、文化遺産データベースの妙然像には男であるとは記載がない。

A-10495 妙然像 仏教の美術 ―平安~室町 本館 3室 2010年3月9日(火) ~ 2010年4月18日(日 東京国立博物館

妙然像 永禄7年(1564)日叙賛 A-10495

東京国立博物館 仏教の美術―平安~室町 展示作品リスト より 
2010年3月9日(火) ~ 2010年4月18日(日)

2010年にも同じように展示があったようなので確認すると、列品番号?は同じと思われるが、こちらは「妙然像」と表記されている。

東京文化財研究所のサイトには「妙然像」の名称で、東京国立博物館での「妙然尼像」の肖像画画像が掲載されている?

東京文化財研究所というサイトには作品名「妙然像」と記載があるが、掲載されている肖像画の画像は東京国立博物館の妙然尼像と同じものと思われる。

東京文化財研究所刊行物リポジトリで、「図版解説 筆者不詳妙然像[永禄七年銘日叙賛、東京 脇本十九郎氏蔵]」というタイトルのPDFファイルを見つけた。(この著者は半子   /  [渡邊 一]と記載されている)

これには、先ほどの妙然尼像の肖像画の画像では読めなかった箇所も記載されている。しかし、「妙然像」と尼とは書いてないが、「上畳に坐せる婦人の肖像を描き」等記載がある。「日叙」は「日敍」と記載されているように見えるが、旧字体のようだ。

「鄔波斯迦」は優婆夷の本字であり、

六、筆者不詳 妙然像 東京 脇本十九郎蔵
「図版解説 筆者不詳妙然像[永禄七年銘日叙賛、東京 脇本十九郎氏蔵]」 

この記載から、先ほどの在家の説明のところに記載があった「女性は優婆夷」とのことなので、妙然尼像=妙然像である?

妙然尼像と妙然像は同一人物ということなのだろうか

私の思い過ごしか。妙然尼像 東京国立博物館の肖像画を一瞬みただけで何かを感じとったのだが・・・

引き続き、検証したい。

学術論文などが読めるJ-Stageというサイトにも妙然尼像についての解説があるようだが

j-stage 妙然尼像 google 検索結果
j-stage 妙然尼像 google 検索結果

購読者でないと読めないようなので、詳細までは確認できていない。「”妙然像” j-stage」での検索ではみつからないようだった。J-Stageはたまに利用しているが、素人ながらにGoogle検索しているとアカウント登録せずに読めるものもヒットしているので読んでいる時がある程度。

アイキャッチ画像の出典の詳細情報と加工について

出典:妙然尼像

東京国立博物館(http://webarchives.tnm.jp/ 配下)で公開しているデジタルコンテンツ

研究情報アーカイブズ デジタルコンテンツの利用について

アイキャッチ画像は上記を基に以下の加工を行っております。
・顔のあたりのぼかし
・赤いクエスチョンマークの追加
・肖像画の人物に焦点を当てたいので全体から切り取り

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